死んだ犬の夢を見た
死んだ犬の夢を見た。
もう10年近く前に死んだ犬の夢だ。
大事にしてやらなかった後悔と、楽しい時間を過ごしてくれた感謝の気持ちで、いまだに胸がいっぱいになる。
その犬の夢を見る頻度は減ってきているけれど、きっと私はこの犬のことをずっと忘れずに携えて生きて行くんだろう。
道行く飼い犬を見るたびに、かつての私と照らし合わせ続けていくんだ。
人間的に出来上がっておらず優しくなかった自分、思いやりのなかった自分を幾度となく思い出しては苦しい気持ちになるのだけれど、苦しい気持ちになるのならば、私にとってはきっと犬を飼うことに意味があったのだ。もし何も感じていないのならば飼う必要はなかっただろうけれど、あの幼い日々を思い出しては苦しくも穏やかな気持ちになり続けているのならば、私にとって、あの犬を飼う必要があったのだ。
飼い犬が死んだ時に辛いから飼わないんじゃない。飼い犬が死んでも何も辛くないのなら飼う必要はない。
そんな話を思い出しました。